今年度、厚生労働省委託事業「中小企業育児・介護休業等推進支援事業」の仕事と家庭の両立支援プランナーとして活動しています。
今回は、中小企業の皆さまにぜひ知っていただきたい、仕事と育児・介護の両立支援についてご紹介します。
中小企業が無料で専門家の支援を受けられる「いくぷら」
「いくぷら」は、厚生労働省委託の「中小企業育児・介護休業等推進支援事業」です。
中小企業の事業主や人事・労務担当者を対象に、社会保険労務士や中小企業診断士などの「仕事と家庭の両立支援プランナー」が、仕事と育児・介護を両立できる職場づくりを支援しています。
たとえば、
・初めて育児休業を取得する従業員がいる
・育休中の業務をどう引き継げばよいかわからない
・育休から復帰する従業員をどう支援すればいい?
・介護離職を防ぐために、会社として何を準備すればいい?
・育児・介護休業法の改正にどう対応すればいい?
といった相談について、企業の状況を聞きながら支援を行います。
対象となる中小企業は無料で利用できます。
支援の対象や内容、受付状況などの最新情報、お申し込みについては「いくぷら」公式サイトをご確認ください。
育児休業は、「取得して終わり」ではない
両立支援プランナーとして活動する中で、改めて大切だと感じていることがあります。
それは、育児休業は「取得できたら終わり」ではないということです。
子どもが生まれて、自分で着替えて、自分でごはんを食べて、自分でトイレに行けるようになるまで。個人差はありますが、短くても何年もかかります。
育児休業から復帰したからといって、育児が終わるわけではありません。
保育園から突然呼び出し、子どもの体調不良で何日も仕事を休まなければならないこともあります。
朝は保育園へ送り、限られた時間で仕事をして、また迎えに行く。
「小1の壁」と言われる問題もあります。
むしろ、仕事と育児の「両立」が本格的に始まるのは、職場復帰してからともいえます。
せっかく復帰した社員が辞めてしまうのは、企業にとっても大きな損失
育児休業を取得し、職場に復帰した。
けれど、仕事と育児の両立が難しく、最終的に離職してしまう。
そうなれば、ご本人やご家族にとってはもちろん、企業にとっても大きな損失です。
採用して、仕事を覚えてもらい、経験を積み、会社のことを知ってもらった大切な人材です。
だからこそ、育児休業の「取得率」だけではなく、
「復帰したあとも、この会社で働き続けられるか」
というところまで考えていく必要があります。
必要なのは「制度づくり」と「風土づくり」
では、育児や介護をしながら働き続けられる職場にするためには、何が必要なのでしょうか。
私は、「制度づくり」と「風土づくり」の両方が必要だと考えています。
法律に沿って、育児・介護休業規程を整える。
短時間勤務や柔軟な働き方など、必要な制度を利用できるようにする。
これはもちろん大切です。
一方で、制度があっても、
「忙しそうだから言い出せない」
「休んだら周りに迷惑をかける」
「制度を使うと評価に響くのでは?」
そんな空気があれば、安心して利用することはできません。
また、育休を取得する人だけではなく、その人の仕事を引き継ぐ人や、一緒に働くメンバーへの配慮も必要です。
そして、もしも疲弊して、無理をしながら働き続けている人がいるのであれば
それを見た次の世代の人たちはどう感じるでしょうか?
この会社で、安心して働き続けようと思うでしょうか?
誰か一人の「頑張り」で乗り切るのではなく、
業務を整理したり、情報を共有したり、
普段からお互いにカバーできる体制をつくったりする。
育児や介護との両立支援を考えることは、
会社全体の働き方を見直すきっかけにもなると思っています。
「うちは小さい会社だから」こそ、使える支援を知ってほしい
中小企業では、人事・労務の専任担当者がいないことも珍しくありません。
「初めて育休を取る社員が出てきたけれど、何をすればいいの?」
そんなところからスタートする会社もたくさんあります。
だからこそ、すべてを社内だけで何とかしようとせず、
国の支援事業も活用していただきたいと思います。
「いくぷら」では、仕事と育児の両立について、
育休取得から職場復帰までの対応や「育休復帰支援プラン」の活用などについて、専門家による支援を受けることができます。
介護についても、介護離職を防ぐための職場環境整備や「介護支援プラン」などについて相談できますので、ぜひご活用ください。
明石市の社労士として、今年度は両立支援プランナーとしても活動しています
普段は、兵庫県明石市で社会保険労務士として仕事をしています。
そして今年度は、仕事と家庭の両立支援プランナーという立場でも、中小企業の皆さまの仕事と育児・介護の両立支援に携わっています。
育児休業を「取れる会社」にする。
そこからもう一歩進んで、
育児や介護があっても、その人が働き続けられる会社にする。
制度だけではなく、実際に働く人たちのことを考えながら、そんな職場が増えていけばと思っています。

